療育の面談で聞かれること、持っていくと話が早いもの

「最近どうですか」

面談の冒頭でこう聞かれて、数秒固まってしまった。あとから「あれも言えばよかった」と思い出す。帰り道でそうなった経験のある方は、たぶん少なくありません。

これは記憶力の問題ではありません。聞かれているものと、思い出せるものが食い違っているだけです。

答えにくいのは、平均を聞かれているから

「最近どうですか」で相手が知りたいのは、この数か月の傾向です。落ち着いてきたのか、変わらないのか、それとも崩れてきているのか。

一方、こちらが思い出せるのは、たいていいちばん強く印象に残った1日です。先週の大きなかんしゃくか、昨日の朝のこと。つい、その日の話をしてしまいます。

すると、こうなります。

どちらも嘘ではありません。ただ、伝えたかったことと、伝わったことがずれます。 そのずれた前提で支援の方針が決まると、あとで困るのは子どもです。

実際に聞かれること

事業所や相談の種類によって順番は変わりますが、だいたい次の4つに収まります。

1. 家ではどんなようすか

事業所や学校での顔と、家での顔は違います。支援者は家の顔を見られないので、ここは保護者からしか得られない情報です。

2. 困っていること、気になっていること

いま何がいちばんしんどいか。本人がしんどいのか、家族がしんどいのか。この2つは分けて伝えたほうがいいです。両方ある場合がほとんどですが、優先度が違うことがあります。

3. できるようになったこと

見落としがちですが、支援の方針を決めるうえでは困りごとと同じくらい重要です。うまくいっている関わり方を、やめないために聞かれています。

4. これからどうしたいか

半年後にどうなっていてほしいか。壮大な話でなくてよく、「朝、自分で起きられるようになってほしい」くらいの粒度で十分です。

そろえておくと話が早い3つ

全部を記録する必要はありません。次の3つがあれば、面談は進みます。

① 日付のついた具体例を2つか3つ

「よくかんしゃくを起こします」より、「10月3日の朝、着替えの途中で止まってしまって30分動けなかった」のほうが伝わります。支援者はそこから状況を組み立てられます。

数は2つか3つで足ります。多ければいいものではありません。

② いつ起きやすいか

朝か夕方か。平日か休日か。特定の場所や活動の前か。

本人にも保護者にも分からなかったきっかけが、ここから見つかることがあります。 日付の点が並ぶと、人の記憶では見えない規則が出てくる。これは記録をつける実利として、いちばん大きい部分だと思います。

③ そのとき自分がどう対応したか

ここが抜けがちです。

同じ「学校に行きたくない」でも、休ませたのか、送り出したのか、途中まで一緒に行ったのかで、その日に起きたことはまったく違います。子どものようすだけを伝えると、支援者は何が効いて何が効かなかったのかを判断できません。

「無理に行かせてしまった」と書くのは気が重いものですが、それを書いた記録のほうが、あとで役に立ちます。 面談は保護者の採点の場ではありません。

書かなくていいこと

準備が続かない原因は、たいてい「ちゃんとやろうとしすぎる」ことです。

毎日つけなくていい。 抜けた日があっても記録の価値は落ちません。むしろ毎日を義務にすると、1週間で止まります。

反省を書かなくていい。 「もっとこうすればよかった」は記録ではなく感想です。あとから読み返すときに邪魔になりますし、書いていてつらくなります。事実だけで十分です。

悪い日だけ書かなくていい。 困ったことだけを残すと、読み返したときに実態より暗く見えます。穏やかだった日も同じ重さで残しておくと、傾向が正しく見えます。

当日の持ち物

3つ目を忘れがちです。面談は報告の場であると同時に、こちらが相談する場でもあります。その場で思い出せないので、先に書いておきます。


記録は、残すこと自体が目的ではありません。半年後に読み返したときに、自分の記憶より正確であればそれでいいくらいのものです。

ノートでも、カレンダーの端でも、スマートフォンのメモでも構いません。続く形で残っていることのほうが、形式よりずっと大事です。

この記事は保護者の方に向けた一般的な説明で、医学的・専門的な助言ではありません。お子さまの状態について判断が必要な場合は、かかりつけの専門家にご相談ください。